
群馬県公式Youtubeチャンネル「tsulunos」では、インタビュー動画を公開中!
おしゃれ空間にリノベーション
藤岡市の南西部、里山と川に囲まれた自然豊かな譲原(ゆずりはら)地区に、「ほしのいえ」は建っています。広い敷地に建つ重厚な家屋は、築80年の養蚕農家をリノベーションしました。
玄関を開けると大きな土間、奥へ進むと、薪ストーブが完備されたフローリングのリビングルーム。障子越しにおしゃれなキッチンが見えます。
2階は広々した多目的ホールになっています。ここで味噌づくりや野菜・果物を加工するワークショップを開いたり、アート活動に取り組んだり。大きな窓を開けると爽やかな風が通り抜ける空間で、大切な人たちとゆったりした時間を過ごせます。
客室は2つ。1階の和室と2階の2段ベッドの洋室で、1日1組限定、6人までのお客様を迎え入れます。「手つかずの自然が残るこの場所で田舎の暮らしを存分に楽しんでほしいですね」とオーナーの星野潤さんは話します。

1階にはおしゃれなキッチンがあります
手間をかける贅沢な暮らし
現代の家と、古い木造家屋の暮らしはまったく異なります。「現代の家は便利で効率的。古い木造家屋は暮らしに手間のかかる家です。でもそれはある意味、贅沢な経験ではないでしょうか」と星野さんは問いかけます。
例えば、風呂は薪風呂で、薪をくべ、火をつけ、入るまでに時間がかかります。その分、体の芯からぽかぽか温まり、癒し効果は抜群。ただし、時には、急いで汗や泥を流したいという場合もあるので、薪風呂の横にシャワーも後付けしたそうです。
空調も同じです。昔の日本家屋は、夏の気温に合わせて作られています。暑い時期は風が通って気持ちがいいけれど、冬は底冷えがします。そうした家の状態を住む人が体感して、薪ストーブを使ったり、隙間風の通る道を塞いだり、さまざまなアクションを起こすのです。
「窓を全部複合ガラスにして閉め切って、全館冷暖房完備にしたら、快適かもしれないけれど、おもしろくないじゃないですか。季節の移ろいを感じたり、自然と共に暮らす喜びも味わえません」と語気を強めて話します。

広々とした空間

2階の客室は2段ベッド
四季折々の自然と楽しく遊ぶ
“ほしのいえ”は、豊かな地域資源を活用した食事や体験などを楽しむ農泊施設であるとともに、宿泊だけのお客様も受け入れています。「子ども連れのお客様はほとんど農泊を利用されますね」と言います。
自然体験は四季折々で内容が変わります。春は近くにある桜や菜の花の絶景ポイントを散策に行ったり、梅の実を取って来て、漬物を作ったり。野草摘みも楽しく新鮮な経験です。
夏は川遊びがおすすめ。車で20分ほど走り、三波川の誰もいないポイントへ案内します。「泳いでもいいし、水浴びをしてもいい。イワナやヤマメ、ザリガニを釣る人もいますし、川辺でBBQやスイカ割りをするのも最高。大人も子どもも夢中になりますよ」と嬉しそうに話します。
秋はさまざまな果物を収穫してきて、ジャムやジュースを作ります。「自然味あふれる超最高クオリティーの食品ができますよ」と、星野さん。美しい紅葉や冬桜も見逃せません。

子どもたちはスイカ割りに夢中
ほしの糀を使って手前味噌を
そして冬は、星野さんがライフワークとしている味噌づくりを体験できます。座学と仕込みで所要時間は2~3時間。体験料は1人4,000円で、1kgの味噌をお土産に持って帰ることができます。
星野さんは2011年から藤岡市の「上州百姓米達磨」の米を使って味噌づくりに取り組み始め、2015年には核となる「ほしの糀」を完成させました。「日本食に必要な醤油、味噌、塩麴、甘酒などは麹菌がいないと作れない。そして麹菌は日本の水田にしかいないのです」と話します。「かつて、糀の種を持って、アメリカやカナダを訪れてワークショップをしたことがあります。すべての回が満員で、日本の食生活への注目度には驚きました」と振り返ります。
味噌づくりのワークショップでは材料を素手で混ぜるのが基本。「自分の持っている菌が付くと味噌に対する愛着も出るし、美味しくなる。自分の胃に入ることで健康にもなるんですよ」と思わぬ効果を話してくれました。

味噌の話を聞きながら、ワークショップを体験

味噌づくりに使う材料
様々な人との出会いを経て
星野さんが農泊を始めたのは2018年から。築80年とは思えないほど、手入れの行き届いた古い養蚕農家の家屋にひと目惚れして購入を決意しました。「でも家族3人と愛犬1匹で暮らすには大きすぎる。いっそのこと、さらに手を入れて宿泊施設にしよう」と考えたそうです。
それから様々な出会いがありました。「味噌づくりも家のリノベーションも手伝いたい」と1週間泊りがけで関わってくれた若者たち。「こんなにきれいな桜は見たことがない。日本で一番素晴らしい場所だ」と感動して帰った外国人の家族連れもいました。
「地域のためにも、農泊はとても良いこと」と星野さんは強調します。いま譲原地区には、放置されている果物の木がたくさんあります。実を収穫したり木を整備することで、生態系にも良い影響が出て、農泊体験への更なる活用が期待できます。
ますます多くの人に、この地域の豊かな自然を楽しんでもらいたい。それが星野さんの願いです。

もともと「ほしの糀」として、糀屋さんでした

手入れの行き届いた、養蚕農家の家屋

室内にはおしゃれな飾りがたくさん

1階の客室は和室です
(取材日:令和6年9月)
「暮らす宿 ほしのいえ」について